2022年5月14日三重県教育文化会館大会議室にて消費者市民ネットワークみえ第5回通常総会を開催しました。会員総数68名(団体会員8、個人会員60)の内、53名(実参加31名)の参加で、第1号議案から第3号議案まで全会一致で可決しました。
開会にあたり、吉本敏子代表(三重大学特任教授 前副学長)から、新型コロナウイルスワクチン接種がすすみ、安全で安心な暮らしと経済活動のせめぎ合いの中での難しい対応が求められ、消費者の意識や価値観も変化している。コロナ禍に便乗した消費者被害の増加、戦争に伴う物価の上昇や若年層の消費者被害も懸念される。またコミュニケーションの変化などによって生活困窮者の増加がみえにくくなっている。力を合わせてできることを考えあっていきたいとの旨の挨拶がありました。
来賓として三重県環境生活部消費生活監 髙橋昌子様より、消費者市民社会の形成に向けた取り組み、消費生活行政の推進に関わる参画への感謝の旨、そして消費者と事業者の連携を図り正しい知識を得ていただく取り組み、トラブルに遭った際相談しやすい環境の整備、若年層に対する啓発・教育への注力、SDG’sにおけるエシカル消費の啓発を連携して取り組みたいとの旨のご挨拶をいただきました。
議案の提案と審議、採決に入り、まず議長に岩城厚子氏(三重県司法書士会)が選出されました。
議案書に基づき、斎藤美淳副代表(三重弁護士会)より議案提案が、村林敏也監事(三重弁護士会)より監査報告が行われました。
会場からの発言として、第1号議案に関しては「四日市ケーブルテレビCTYの取材内容について」質問が出され、吉本代表、斎藤副代表より、取材では消費者被害の実例や成年年齢引き下げに関わる問題点などを話題に取り上げ、消費者市民ネットワークみえを知っていただく機会になったことなどが回答されました。また第2号議案に関しては「10周年記念事業積立金について」の質問があり。2027年に10周年を記念する事業に向けた積立金については、今後、世話人会で具体的な活用について協議していくことを報告しました。
議案採決の結果は、第1号議案から第3号議案まで全会一致で可決しました。
続いて4名の会員からコロナ禍における活動の紹介がありました。
・馬場 啓丞様/三重弁護士会(弁護士)
「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るなんでも相談会」について、第1回から第12回までの相談結果について紹介。相談会は全国規模で昨年4月から今年2月まで12回開催し、相談総計は12,450件でした。実際に対応した相談で特徴的だった内容として、「フリーランスで仕事を受けていたが打ち切られた」「工場の派遣社員だが通勤費を捻出することも難しくなった」「生活保護の相談をしたがダメだった。お金がなくて糖尿病の通院ができない」「休業支援金はいつまでもらえるか」というような話が報告されました。
・濱田 憲治郎様/三重県司法書士会
「司法書士の地域貢献とプロボノ活動」について、プロボノとは専門家が職業上持っている知識やスキルを無償提供して社会貢献するボランティア活動のことで、児童養護施設の子どもたちが自立していくための「法律教室」に取り組む中で、同じ施設の中でも子どもたちの間に経済的格差があることなどを知り、子どもたちには社会的資源にアクセスする力を身につけてもらいたいと報告されました。
・野﨑 昭伸様/三重県行政書士会(行政書士)
「コロナ感染症対応・成人年齢引き下げに関する取り組み」として、一昨年は「新型コロナウイルス感染症対応のための無料電話相談窓口」を開設したこと、中小法人、個人事業者の時短要請協力金申請の支援として無料相談会を開催しての対応したことなどの取り組み。また成人年齢引き下げに関連して、県内の中学、高校、特別支援学校への出前講座にも取り組んだことが報告されました。
・森谷 秀香様/みえ医療福祉生活協同組合
みえ医療福祉生協のフードパントリーの取り組み」について、学生対象フードパントリーは、新型コロナウイルス感染拡大により経済的困難に陥り学業継続が困難になった学生を支援する取り組みとして、食料品、生活雑貨品配布を行う中で、支援を受けた学生とボランティアに参加した人たちの交流がうまれたこと、このような取り組みが地域の人々のくらしを豊かにしていくことなどが報告されました。
最後に新役員の紹介があり、吉本代表より、「会員一人ひとりの活動がつながってネットワークとなっていく、みんなで活動を盛り上げていきたい」と述べ、総会を終了しました。
【2022年度役員名簿】
区分 | 氏名 | 所属など | |
代表 | 吉本 敏子 | 三重大学(前副学長・特任教授) | 重任 |
副代表 | 斎藤 美淳 | 三重弁護士会(弁護士) | 重任 |
世話人 | 馬場 啓丞 | 三重弁護士会(弁護士) | 重任 |
世話人 | 村田 雄介 | 三重弁護士会(弁護士) | 重任 |
世話人 | 水谷 公孝 | 三重県司法書士会(司法書士) | 重任 |
世話人 | 岩城 厚子 | 三重県司法書士会(司法書士) | 重任 |
世話人 | (行政書士)※ | 三重県行政書士会(行政書士) | ー |
世話人 | 中川 勝規 | 個人会員 | 重任 |
世話人 | 中部 絵美 | 消費生活相談員(東員町・桑名市) | 重任 |
世話人 | 陰地 康行 | NACS三重分科会(消費生活アドバイザー) | 重任 |
世話人 | 田中 浩 | 生活協同組合コープみえ(職員) | 重任 |
世話人 | 田中 睦 | 生活協同組合コープみえ(職員) | 重任 |
監事 | 村林 敏也 | 三重弁護士会(弁護士) | 重任 |
監事 | 前田 芳子 | NACS三重分科会(消費生活アドバイザー) | 重任 |
総会記念講演会「生活困窮者が生まれる社会的背景」
総会終了後、引き続いて同会場にて記念講演会を開催しました。
早稲田大学人間科学学術員教授 橋本健二氏を講師にお迎えして、生活困窮者が生まれる原因となった格差拡大の社会背景から、アンダークラスと言われる層の生活状態、意識などの実態調査結果を基にした分析と考察について、さらに日本社会の問題点・課題、政治の問題点についてわかりやすくお話をいただきました。
最後に吉本代表から、「この講演を受けて、生活に困っている人々に寄り添った活動を進めていきたい、子どもたちが将来、自己肯定感をもって生きていけることなど、先生のお話の思いを、拡げていきたい」と閉会の挨拶を行いました。