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成年年齢引下げに伴う消費者被害拡大防止のため実効性のある施策実現にむけた要望書を内閣総理大臣宛てに提出しました。

 消費者市民ネットワークみえでは、2022(令和4)年4月1日に施行される、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号)まで、半年を切った今、それに伴う消費者被害が拡大することを防止するための実効性ある施策を早急に実現することについて、内閣総理大臣をはじめ関係の省庁に宛て要望書を提出しました。


令和3年10月28日


内閣総理大臣殿


〒514-0009 三重県津市羽所町 379 番地
(三重県生活協 同組合連合会内)
消費者市民ネットワークみえ
 代表  吉本 敏子

成年年齢引下げに伴う消費者被害が拡大することを防止するための

実効性ある施策を早急に実現することを要望します

民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号。以下「本法律」という。)の施行日である2022(令和4)年4月1日まで、半年を切りました。

 消費者市民ネットワークみえは、若年者の消費者被害の防止、消費者市民の育成に向けて、現状消費者教育がどの程度進んでいるかの実態を把握すべく、2019年(令和元)年7月~10月末日にかけて、三重県内の高校生(「現代社会」と「家庭基礎」または「家庭総合」を履修済み)の全日制の15校の2年生を対象にアンケート調査(調査人数 2702名)を行いました。
 そして、同アンケート調査からは、①成年年齢引き下げと契約との関わりを十分に理解しているか。②契約に関する基礎的な知識が十分に身についているか。③契約に関するトラブルを解決する力が十分に備わっているか。④消費者としての実践力(消費者の行動や価値観が社会に及ぼす影響を理解しながら消費者として責任ある行動がとれる力)があるかといった点を問うたところ、いずれの観点からも課題が残ることが明らかとなりました。
 調査内容の詳細につきましては、「成年年齢の引き下げと契約に関する調査報告書」をご確認いただければと考えますが、特徴的な点につきましては、以下のとおりとなります。
㋐成年年齢に達することでできるようになる具体的な契約(自動車のローンを組める、クレジットカードを作れる、家を借りられる等)を把握しておりません。
㋑契約の成立につき、申し込みと承諾があった段階で成立することを理解していないばかりか、一度成立した契約につき一方的な解約(返品)ができないことを理解していない状況が見受けられました。なお、現在、若年者においては、スマホの普及、社会生活の変動に伴い通信販売等が身近となっているところ、通信販売においてクーリング・オフ制度が存在しないといった基礎的な知識の浸透も進んでいないのではないかと懸念されます。
 当ネットワークにおきましては、上記調査結果を踏まえますと、成年年齢の引き下げの理解をさらに深める必要性があり、契約に関する知識を覚えるのみならず、実践的に活用し、トラブルを解決できる力を身につけさせる必要があるものと考えます。 
上記のとおり消費者教育の推進が不十分な段階にあるにもかかわらず、本法律がこのまま予定通り施行された場合、これまで未成年者取消権によって悪質商法の被害から保護・救済されてきた未成年者のうち、まだ高校生を含む18歳や19歳の若年者は未成年者取消権を行使できなくなり、さらなる消費者被害を招く恐れがあります。

 ところで、本法律が2018(平成30)年の通常国会で成立した際、成年年齢の引下げによって若年者の消費者被害が拡大する強い懸念から、これを防止するために法施行まで3年10ヶ月という長期間を設け、参議院法務委員会の全員一致による附帯決議において、必ず実現すべき課題が示されていました。
 具体的には、①法成立後2年以内に、知識、経験、判断力の不足など消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して勧誘し契約を締結させた場合における消費者の取消権(いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権)を創設し、②若年者の消費者被害を防止し救済を図るために必要な法整備を行うこと、③マルチ商法等への対策について検討し必要な措置を講ずること、④消費者教育の充実を図ること、⑤18歳、19歳の若年者への周知徹底や社会的周知のための国民キャンペーン実施を検討すること、⑥施行日までに、措置の実施、効果、国民への浸透について検討し、その状況を公表すること等でした。
 しかしながら,本法律が成立した2018(平成30)年6月以降、若年者の消費者被害やその防止をめぐる状況は大きく変わっておらず、成年年齢引下げの施行まで半年を切っている現時点においても、上記附帯決議が求める施策が十分に実施されているとは言い難いものであります。
この点、消費者教育については、「アクションプログラム」,「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーン」等が実施されているものの、消費者被害の予防に繋がる実践的な消費者教育が十分に行われているとまでは言えず、さらに成年年齢引下げ自体の周知はされていても、未成年者取消権を18歳で失うことによる消費者被害拡大のおそれについての周知徹底も十分になされているとは言い難いものであります。

 そこで、当ネットワークは、本法律の施行が半年を切っていることを踏まえ、政府に対し、成年年齢引下げによって若年者が被る影響や問題点を国民に広く周知し、上記附帯決議に示された被害防止の措置を早急に実現することを強く求めるものであります。


以上

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